空港

 美しい死に顔だったにちがいない。 まっさきに思ったのはそれだった。 兄の硝子の目は、生きている頃から時おり別の場所を見ているみたいに虚ろな色を映した。父も、母も、おれも、この世には誰も存在していないみたいな、夢見るよう...