いつか夢で ― オマケ

○魔女の家・ハックスとミタカの寝室(深夜)
   明かりの消えた寝室。
   カーテンは開いており、月光が差し込んで明るい。
   ベッドのシーツは大きく乱れ、服、枕などが床に散乱している。
   ハックスもミタカも、服は着ていない。
   ミタカはフラットシーツとブランケットを胸のあたりまで掛け、枕に頭を乗せている。
   ハックスは腹までしかシーツを掛けておらず、上半身を起こし枕(大)に凭れている。
   二人とも、眠そうな、それでいて満足げな表情。
ハックス「(囁き声で)フェル」
ミタカ 「……はい」
ハックス「初めて私と踊ったとき、どう思った?」
ミタカ 「どうって……。上手だなと」
ハックス「そうじゃなくて。なんか、もっとあるだろ、ほかに」
   ミタカ、思案顔で黙り込む。
   数秒ほどの沈黙。
   ミタカ、突然何かを思い出したような表情。視線をさまよわせ、明らかに動揺している。
ハックス「どうした」
ミタカ 「(早口で)いえ別に」
   ミタカ、ハックスから顔を背ける。
   ハックス、不審げな表情。
ハックス「なんだよ」
ミタカ 「何でもありませんってば」
   ミタカ、答えながら顔を赤らめる。
ハックス「言え」
ミタカ 「何を」
ハックス「私が知るか。いいから、白状しろ」
ミタカ 「本当に、何でもないんですったら」
   ミタカ、真っ赤になって頭まですっぽり毛布に包まる。
   ハックス、あきれ顔で隣のミタカをじっと見る。
   やや間。
ミタカ 「(くぐもった声で)……だな、と」
ハックス「え?」
ミタカ 「い……イイ匂いだな、と……(声は徐々に小さくなっていく)」
   ハックス、きょとんとした顔。のち、爆笑する。
   ミタカの手が毛布の下から伸びてきて、手近にあった枕(小)をハックスに投げつける。

   暗転。