断篇たち

熾り火  真夜中。尾形、交代、の声に振り向くと、やってきたのは月島だった。高倉はと新兵の名を出せば、代わったと答える。規律が乱れやしませんかと突っかかるよりも先に、だから内密になと言って月島は笑った。生真面目一本の男が、...

日常茶飯事・夏

「で、なんて言ったんすか、その女性は」 俺のことを、と尾形が尋ねる。「あー、いや」 どこか挑むような口調の尾形に対し、月島の答えは歯切れが悪かった。くたびれたランニングシャツの胸元をぱたぱたとやって風を入れながら、さりげ...

百の癖

 遅くなると言っていた尾形を待ちくたびれて、もう寝ようかと見てもいないTVを消したちょうどその時、玄関のドアが開く音がした。つづけて、革靴のキュッと鳴る音、ゴソゴソばさりという衣擦れの音。 ようやくお帰りかと腰を上げると...

そのまま

「俺だな」 尾形から手渡された写真をかっきり五分間、無言でながめたあと、月島から出た第一声はそれだった。 当然続きがあると思って尾形はしばらく黙っていたが、月島はふたたび手元に視線を落とし、ほう、ほーうと感嘆の声をあげて...

世界の終わりの超新星(仮)

1-1.  尾形が勤めるバーには幽霊が出る。 幽霊というだけあって、かなり陰気な見た目をしている。おそらくは女だろう。長い黒髪を胸までぞろりと垂らし、薄汚れた白いワンピースを着ている。あまりにも典型的な見た目は滑稽に感じ...

夜に

 朝、めざめると隣にいるはずの日常が消えていた。 日常は、日常ではなかった。わかっているつもりだった。 そして、この世のすべてを理解したようなふりをする自身の愚かささえ、わかっているつもりでいた。けれど、こんな小さな喪失...

説明

弊社の現パロ月と尾について 転生ではない 尾形と月島以外、原作からのキャラクターはいない ただ尾形と月島がなんとなく生活している話 恋愛関係になるかもわからない 尾形…写真を撮ることが好きだが、現在は撮っていない。職業不...